[003]    夢見草     mil  


 


「ずっとこの時を待っていたよ……。」
その花はほんの僅かに紅を帯びていて
闇の中でぼおと浮かび上がるように咲いていた。
そしてその花の花びらが雪のように舞い散る中、
人は幻想を見るのだろうか。
彼の人の掌がするりと体を撫でていき
軽く顎を持ちあげてくる。
惑わすように薄紅色の花びらが舞い、
間近に見える彼の人は薄く微笑みながら
覆いかぶさってくるのを
薄れてゆく感覚のなかで受け入れようとしていた。




作者コメント 
毎年描かせてもらっています。桜。
桜吹雪の妖しさと大人関係の大ガルは合うなぁvvv
現実の外の景色はまだまだ真っ白雪景色ですが(春が待ち遠しい)
ちなみに「夢見草」は桜の別名だそうです。

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