陽の元にある時は途切れることのない
ざわめきに満ちていたケロン軍本部も
日付も変わろうかという時間になると
流石に人気もなくなり静寂の空間に満たされる。
微かな音さえ何倍もの音量となって
響き渡っていきそうな建物の一室で
それは密やかに息づいていた。
部屋の照明は落され闇に沈んでいるが
ほのかに灯されたデスクスタンドが
汗ばむ紫紺の体躯を妖しく照らしていた。
はぁ、と零れる吐息と押し殺した声が
耳元に零れ落ちて来て大佐は
そっと笑みを浮かべた。
「もう限界かい?」
揶揄を含んだ上司の言葉に
紫紺の体躯をした部下が
金色の瞳を細めて唇をかみしめる。
執拗なほどの愛撫で高められた情欲に
それまで耐えていた理性が
屈したような屈辱を感じたのだろう。
屈辱と羞恥と情欲に頬が紅潮する姿が
快楽を与えようとする者に更なる欲情を煽っている事を
気付いているのか気付いていないのか。
どちらにしても今更引き返す事など出来ないし、
止めるつもりもない。
「深夜勤務はまだ終わらないよ。
もっと楽しもうじゃないか。」
くつりと笑う大佐の囁きに
紫紺の部下は諦めたように瞳を閉ざした。
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